中央大生が山﨑建夫さんを取材、論考を発表

中央大生が山﨑建夫さんを取材、論考を発表――『中央評論』で「ベトナム戦争と日本人」を特集

 

『中央評論』第313号、特集「ベトナム戦争と日本人」、右は目次

 現在の大学のなかで、かつての1967年10・8羽田闘争と山﨑博昭君の死に関心を抱く学生たちが生まれています。ある中央大生が山﨑建夫さんを訪ね、取材し、ベトナム反戦運動を研究し、それを論考にまとめたものが、『中央評論』第313号に掲載されました(2020年10月30日、中央大学出版部刊)。「10・8羽田闘争――兄が語る弟・山﨑博昭――」というタイトルで、取材・執筆は袴谷直輝(同大総合政策学部国際政策文化学科4年)さんです。

 同誌第313号は「ベトナム戦争と日本人」を特集しています。特集の趣旨は、「ベトナムという国は、長期間にわたって、戦争の悲惨さと荒廃を味わって来たといえる。そして、そのベトナム戦争に、日本あるいは日本人は、直接的間接的にかかわってきている。今回の特集は、それらの証言集といえるものを目指した。インタビューした対象者は多数に上ったが、本特集では、それのなかから十人を選び、ルポルタージュという形で紹介する」というものです(巻頭言、松野良一教授執筆)。その一人が山﨑建夫さんです。

 松野教授は、「今回の特集を編集するにあたって、取材対象者のほとんどが高齢者であり、時間との戦いであった。「ベトナム戦争と日本人」に関する歴史的に重要かつ貴重な証言を記録し、後世につないでいくために、下調べから取材、執筆までをジャーナリストを目指す現役の大学生にお願いした。若者によるルポルタージュの方が、この特集を読む大学生に共感してもらえると考えたからである」と書き記しています。

 こうした「若者によるルポルタージュ」が一人ではなく集団的に試みられたということは、とても嬉しいことです。袴谷さんの論考をはじめ、他の論考もそれぞれのテーマを深く取材したもので、いずれも読みごたえがあります。そしてそこには、「反戦と平和への強い思いを忘れてはならない」という大学生たちがつかんだ共通の視点があります。

 袴谷さんは最後の方で、次のように書いています。

 「取材をしてわかったことは、過去を検証し続けることの意義だ。何がその事件を引き起こしたのか、その事件は現在に何をもたらしたのか、そして、その事件から学ぶべきことは何なのか。それらが検証されて初めて、過去の事件は人々の中で意味を持つようになると思う。/博昭氏の意志が建夫さんや同級生の心の中で今も生きているように、事件を検証し続けることで犠牲者を生かすことができるのかもしれない。……」

 今回の取材を通して大切なことをつかみとった袴谷さんに、私たちもまた教えられる思いです。

 『中央評論』第313号を入手するには、お近くの書店に問合せ、取引関係があれば注文できます。1冊300円(+税)です。

10・8山﨑博昭プロジェクト 事務局



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