11月26日、上野千鶴子さんが大阪で「本邦初演」の講演(記事と写真、2016年)
「2015夏 日本は変わったか」
去る11月26日(土)、社会学者の上野千鶴子さん(当プロジェクト発起人)の講演を中心とした第2回大阪講演会には、約160人の方がご参加くださいました。ありがとうございました。
講演会の司会を水戸喜世子さん(十・八救援会、発起人)が務めました。
北本修二さん(弁護士、発起人)が主催者の開会あいさつで、高校・大学と同期だった山﨑博昭君を偲び、当時の若者たちが佐藤首相(当時)のベトナム訪問に際して「加害者として」の自覚をもって必死にベトナム反戦を闘ったこと、その闘いの中で山﨑博昭君が死んだという事実とその歴史的意味を記録に残したい、と述べました。
兄の山﨑建夫さんは、この間の取り組みをとおして、博昭君と同世代の人々から寄せられた賛意や期待の声に感謝を述べました。今の安倍政治への怒りとあの時代の若者の怒りとが重なる、と語りました。この間のベトナム反戦展示、講演会、賛同人会議、モニュメント建立の現状について報告しました。あと1年、さらに賛同人を拡大したいのでぜひともご協力をお願いします、と訴えました。
「2015夏 日本は変わったか」と題して講演に立った上野千鶴子さんは、「よそでやったことのない本邦初演の話をします」と切り出しました。
まず1年前の国会を取り巻く安保法制反対の大きな運動とその意味を、渦中に身を置いた観点から語りました。
さらに1960年代・70年代以来の日本の社会運動の展開をジェンダーの視点から歴史的に整理して、縦横に語りました。この困難な時代にも明日を開く可能性があることを説くものでした。
1時間にわたる講演は、パワーポイントを使った、ていねいな説明で、参加者も聞き入っていました。長年にわたって「リブの運動の羅針盤」(水戸喜世子さんのことば)の位置を担ってきた上野さんならではの講演内容となりました。
講演の後、ジャーナリストの西村秀樹さん(賛同人)が質問し、上野さんが答えるというインタビューが行なわれました。とくに現代社会の矛盾を一身に受ける若者たちの存在と未来についてどう考えていくのか、など議論が展開されました。
講演とインタビューを受けて、この日参加した発起人が登壇しました。
北本さん、山﨑建夫さんの挨拶に続き、辻恵さん(弁護士)は、来年の10・8羽田闘争50周年の企画について紹介し、当プロジェクトを、単に回顧に終わるのではなく次の世代へ、世界へとつながるような世代間継承の場にしたいと語りました。
山本義隆さん(元東大全共闘議長、科学史家)は、今年催したベトナム反戦展、来年8月予定のベトナムでの展示について語りました。この経験の中で、1960年代から1970年代の10年間にわたるベトナム反戦闘争がいかに多元的、重層的であったかを述べました。
最後に、今回の第2回大阪講演会の準備に力を尽くした道浦母都子さん(歌人)が「俳人・上野ちづこ」との出会いと今回の講演依頼の交流を語り、1時間にわたる講演への感謝を述べました。
10・8羽田闘争と山﨑博昭君の死から50年目がいよいよ来年10月に迫ってきました。いろいろな意味で歴史に山﨑博昭君の闘いの記録を残し、未来につなげていく当プロジェクトの試みも、今回の上野千鶴子講演会でさらに広がりをもつことができました。皆様のご協力に心から感謝申し上げます。