11月3日に秋の関西集会です/東京集会の映像報告と批評・感想集
11月3日に秋の関西集会です/東京集会の映像報告と批評・感想集
2020年秋の関西集会
長編ドキュメンタリー映画「きみが死んだあとで」上映とトーク
◆日時:2020年11月3日(火、休日)
◎12:00開場/12:30開始(17:00閉会)
主催者あいさつ/「きみが死んだあとで(上)」上映/休憩/「同(下)」上映/糟谷孝幸プロジェクトからのあいさつ、京大11月祭をめぐって/トーク
◆会場:エル・おおさか南館大ホール
http://www.l-osaka.or.jp/access/
Osaka Metro谷町線・京阪電鉄「天満橋駅」より西へ300m、Osaka Metro堺筋線・京阪電鉄「北浜駅」より東へ500m
〒540-0031 大阪市中央区北浜東3-14 TEL:06-6942-0001
◆入場料金:1500円
◆終了後、懇親会
◆参加申し込み:下記のフォームからお申し込みください。
http://yamazakiproject.com/application
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10月4日の東京集会の様子を映像報告にしました。
https://www.youtube.com/watch?v=miQeiib6R_U&feature=youtu.be
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【はじめに】
2020年秋の東京集会で完成披露させていただいた長編ドキュメンタリー映画『きみが死んだあとで』に対する感想が届いています。
特に脚本家の小川智子さんから寄せられた長い感想は、ぼくがつくり続けているドキュメンタリー映画の真髄(というほどのものがあれば、という話ですが)をついている、ものすごくうれしい批評でした。小川智子さんの長い感想と秋の東京集会の参加者の感想抜粋を以下にご紹介いたします。
当事者である「団塊の世代」、その世代を見上げて育った「しらけ世代(50代〜60代前半)」、その世代の子どもたちである「団塊ジュニア世代(40代)」、21世紀になって成人した「ミレニアム世代(30代以下)」、まさにいま青春を謳歌する「Z世代」。寄せられた多くの感想から、映画『きみが死んだあとで』は世代を超えて響く「何か」を含有しているかもしれない、それはもしかしたら「青春」という共同幻想かもしれないと思いました。
『きみが死んだあとで』監督 代島治彦
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『きみが死んだあとで』〜伝説から解き放たれた
小川智子(脚本家)
弁天橋で山﨑博昭さんの顔写真(遺影)のパネルを掲げた代島治彦監督の姿。
「1958年2月生まれのぼくは、10歳くらい年上の『団塊の世代』の大きな影を踏むように成長した。小学校に入学するとすぐにベトナム戦争が始まった。/少年時代の僕は、ベトナム反戦を訴え、革命を叫んで闘う、『団塊の世代』のかっこいいお兄さんやお姉さんに憧れた。ヘルメットをかぶり、角材を握りしめ、いのちをかけた青春に。……」
監督より4歳下の私は、まず冒頭に共感しました。自分の学生時代にどうしようもない歯がゆさを抱え、その思いは現在までずっと同じ形でわだかまっていることを、いきなり突きつけられたのです。これほど率直に、あの世代への憧憬を告白する作品には、今まで出会ったことがなかったと思います。
(そうだ、わたしも、憧れていたのだ……。)
その想いがあったからこそ、じつは山﨑博昭さんのドキュメンタリー映画ができたことに対し、勝手に少し危惧の念を持っていました。それは昨今、数多作られるようになったドキュメンタリー映画群への懐疑の延長にあるものです。映像が持つ訴求力にもたれかかり、なかには、撮られる対象(人物や事実関係)の重さを単に画でなぞるだけのものが、このところ急増したと思うのです。土本典昭、小川紳介、原一男といった監督の作品に触発されてきた者としては、撮る者が対象に潜り込み、ともに怒り、ある時は挑発し、スクリーンの外にはみ出していく力こそがドキュメンタリーの真髄なのではないかと思ってきました。対象が重いものであればあるほど撮る側の拮抗する力は必要なのであり、また逆に、対象が力を持つものであればあるほど、撮る者がなぞるだけで何となく重要っぽい映像作品はできてしまう。そういうものなのだと。
2017年に刊行された「かつて10・8羽田闘争があった」(10・8山﨑博昭プロジェクト編/合同フォレスト刊)は、山﨑博昭さんの追悼50周年ということで、10・8にまつわるすべてを網羅しようとの気迫に満ちた証言・資料集でした。この本が出た後にわたしは「追想にあらず 1969年からのメッセージ」(三浦俊一編・著/講談社エディトリアル刊)という書籍の編集にあたり、複数の関係者の証言の中でも1967年10月8日の山﨑博昭さんの死がいかに大きなものだったか、という話を直接聞くことになりました。とりわけ当時東大医学部にいた小西隆裕さんは、そもそも学生運動に興味がなく、当日友人宅で将棋をさしていたところ、テレビを点けると羽田の様子が映し出され、「学生たちが勝っている!」と釘付けになったといいます。しかもそこで18歳の、京大の学生がひとり亡くなってしまった……この衝撃が、その後の自分を決定づけたと語る方はとても大勢いらっしゃることを、直に知りました。
であればこそ、書籍をなぞるだけの映像作品であっては……という思いがありました。
あるいは映像化されることにより、人間ひとりの死ではなく、伝説化、象徴化されてしまったのではないかという危惧もありました。じっさい山﨑博昭の名が樺美智子さんと並列にあつかわれたり、学生運動の渦中に命を落としたということで、奥浩平さん、高野悦子さんらと一緒くたに語られるのもしばしばあることだと思います。
「山﨑博昭」の名を忘れてはいけないと、記され、語られるほどに、実像は遠くなっていくのではないのか。そんな気がしていました。
そこへ、この映画の冒頭が突きつけられたのです。
トップ・シーンは「山﨑博昭」を伝説から解き放つ宣言でした。代島監督は半世紀前に亡くなった18歳の京大生を、真の意味で蘇らせようとします。ドキュメンタリーにはこういう力もあったのだと思い知らされます。なにも、反骨精神をもって一石を投じるだけがドキュメンタリーではなかった。亡くなった者、失われた時間に、今を生きる者として正面から向き合い、痛みを知り、共感し、実感する。その忍耐強い作業が、静かな、強い力を生む。この作品によって、ドキュメンタリーの可能性(というよりも、精神)を知りました。
映画では主に、兄・山﨑建夫氏と、大手前高校で同学年だった数人の人びとの証言から、わずか18年を生きたひとりの人間の実像がかたちづくられていきます。その姿が、スクリーンにくっきりと浮かび上がってきます。日記に遺された少年時代のある日、夕方の家での一風景が、脳内のスクリーンに再現され映し出されるような気さえします。
彼の死後の50年を生きた人びとは、ひとりの人間の死を抱え続け、それぞれの場所で誠実に時を重ねてきたことが伝わります。兄と同級生たちは、18歳のままの山﨑博昭の姿を、それぞれの顔と姿とに刻んでいます。背筋の通ったそれぞれの生きざまを、代島監督は丁寧に、時間をかけて写し撮っていったということがわかります。
わたしたちはこの映画を観ることで、未知の死者を生きた人としてとらえ返すことができます。象徴になりかけたものから、生きた人間として、心の中に蘇らせることができます。
映像の中で語り、泣き、笑い、歌い、踊る人びとの姿が、わたしたちに刻まれることによって、山﨑博昭というひとりの人間が、永遠に刻まれることになるのだと思います。
ラスト・シーンは冒頭の弁天橋に戻り、掲げられた彼のパネルに雨が降りかかります。確かに生きた人の涙がここに流れている……下の世代のわたしも、初めて、その涙に触れることができたと思っています。
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2020秋の東京集会 アンケート映画感想抜粋
正直なところ、多くの犠牲者があった当時の運動のなかで、なぜ10・8の山﨑さんの事件が重要で、クローズアップされるのか理解できてはいませんでした。しかし、映画を通じて事件がひとつの権力の弾圧による悲劇ということを超えた、学生運動というものの歴史的な意義を表す鏡でもあると感じました。また「学生運動とは何だったのか」と漠然と感じている多くの若者に当時のリアルな当事者の姿を伝えることができる、すばらしい映画だと思いました。来年の全国公開が楽しみです。
K.M 男性 上智大学生
私は1969年に大手前高校に入学したが、この時に映画(前半)で描かれた事実(山﨑さんたちが行ったこと)を知っていればと痛切に感じた。
T.T 男性 大手前高校同窓生
生きる上で、いままでの原点(50年前)の意味をみなさま(登場人物)がよく考えておられ、教えられました。心優しいみなさまに感動しました。
M.M 男性
私は現在大学2年生ですが、当時同じ年齢くらいの学生らが各々の志のために闘う姿に感銘を受けました。
S.M 女性 聖心女子大学生
とても感動的な映画でした。2回泣きました。トークの会も素晴らしかったです。
T.I 男性 元革共同全国委員会同盟軍
よかったです。山本義隆さんの話(内ゲバに関しての話)、佐々木幹郎さんの話(天草の漁師の話)、山﨑建夫さんの話(博昭さんの子どもの頃の話)、水戸喜世子さんの話(救援センターの話)などが印象に残っています。
N.H 男性
セクト、それも関西地区の高校からの活動、同世代であっても知らなかった「物語」であったが、理解できた。個人的には東大核研で学生(大学院生)として世話になった水戸巌さんのカラー写真が多数紹介されていて感激した。
M.K 男性
感銘を受けました。当事者たちの肉声を聴くことによって、いままでベールに包まれていたことが立ち現れました。ありがとうございました。
M.A 女性
とてもわかりやすく編集されていた。
K.T 女性
目から「ウロコ」。高校社研などから大学入学→中核派へ。青年のほんとうの純粋な考えが伝わってきた。セクトの気色に染まらず「純」に生きた高校の同級生を知って感動。
S.H 男性
大変感動いたしました。山﨑博昭さんが提示した問題群はいまもあるものだと思いました。
H.F 男性
映画の中で語られた内容についてどうとらえるか、これからじっくり考えてみたい。出演者すべての方の人生を映した発言の重さをしっかりと受け止めたいと思っています。
K.M 女性