№7(2020年9月10日):『きみが死んだあとで』をご覧ください/山﨑建夫、代島治彦、元米国学生運動家リーダー・マーク・ラッド氏をお招きして 他

10・8山﨑博昭プロジェクト・ニュース(№7)

2020年9月10日     発行・10・8山﨑博昭プロジェクト事務局
〒104-0061東京都中央区銀座8-10-6銀座MEビル3F
東京銀座総合法律事務所内
FAX:03-3573-7189 E-mail:monument108@gmail.com
http://yamazakiproject.com/
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代島治彦監督作品・長編ドキュメンタリー映画
『きみが死んだあとで』をご覧ください。

山﨑建夫

 コロナと熱中症の警戒で動き難い人もいますが、ものともしない強者を先頭にプロジェクトは反戦の旗を高く掲げ活動を再開しています。来春公開予定の代島監督の映画をこの秋の集会で先行上映します。ぜひ友人・知人をお誘い合わせて観に来てください。
コロナ対策で事前予約制を取ります。

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 <監督自身による解説、あるいは言い訳>
「あの時代」の「あれ」はいったい何だったのか?

映画監督 代島治彦

 「ぼくがあこがれた、かっこよかったお兄さんやお姉さんの物語」。製作支援金(カンパ)募集を告知するチラシ表面に掲載した、ぼくが映画を作る動機を書いた文章の大見出しである。
「代島さん、この気恥ずかしい大見出しはなんとかならんのかねえ」と山本義隆さんから声をかけられた。毎月開いている 10・8 山﨑博昭プロジェクト発起人会議の席だった。「もう仕方ないことだけどね」というような〝許しの表情〟を浮かべて、優しく微笑む山本さんにとっさに返す言葉は見つからなかった。

 ほぼ同年代の劇作家・鴻上尚史の小説『ヘルメットをかぶった君に会いたい』(2006 年刊)。連合赤軍事件や内ゲバにたどり着く前の、まだどこかのどかさが漂う学生運動の映像。一人のヘルメットをかぶった女性の顔がアップになる。その瞬間のはじける笑顔。主人公のぼくは、ヘルメットをかぶった君に猛烈に会いたくなる。そして、いまは 50 代半ばになっているであろう〈かつてヘルメットをかぶっていた女性〉を探すという小説である。

 ぼくよりも 4 歳年下の社会学者・小熊英二の研究書『1968〈上〉若者たちの叛乱とその背景』『1968〈下〉叛乱の終焉とその遺産』(2009 年刊)。帯には《「あれ」は何だったのか、なぜ起きたのか》という惹句。「あれ」とは具体的に何か?「あの時代」のさまざまな「あれ」が思い浮かぶ。『1968〈上〉』表紙カバー写真(撮影:茜三郎)のヘルメットをかぶった髪の長い女の子がすごくかわいい。小熊はいい写真を選んだ。ぼくはこの〈かつてヘルメットをかぶっていた女性〉のいまの姿を知りたい劣情を催しかけた。

 鴻上も小熊も、ぼくも、「あの時代」の「あれ」の当事者ではない。だから、あこがれる。ちょっとだけ真実に近づきたいと思う。当事者ではないからこそ、「あの時代」の「あれ」の真実に迫れるかもしれない。だから、小説を書き、研究書をまとめ、映画を作る。

 その創作意欲の根底には、たぶん「愛」と「憎」がある。「かっこよかったお兄さんやお姉さん」に対する「愛」と「かっこよくなくなっちゃったお兄さんやお姉さん」に対する「憎」と(ちなみにぼくは山本義隆さんには「愛」しかない。なぜなら、いまでも「かっこいいから」)。

 小熊英二の『1968〈上〉〈下〉』は「あの時代」の「あれ」の当事者からきびしい批評を受けた。この文章の冒頭に書いたカンパ募集チラシの大見出しに対する山本義隆さんの苦笑混じりの指摘は、当事者からの最初のジャブ攻撃だったのかもしれない。
ぼくも覚悟しなければと改めて思う。小熊の大著ほどに世間をひっかきまわす問題映画になれば、うれしい限りだ。すべては 10・8山﨑プロジェクト秋の東京集会、大阪集会の完成披露上映からはじまる。ぜひ多くのひとに観てほしい。

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元米国学生運動活動家リーダー
マーク・ラッド氏をお招きして
大谷行雄

 ◀六本木「山﨑文庫」にて

映画「いちご白書」のモデルとなった象徴的リーダー、マーク・ラッド氏

 2019 年 10 月 22 日、奇しくも国際反戦デーの翌日に、1968 年米国ニューヨーク州にて「民主社会学生同盟 (SDS)」のコロンビア大学支部長として同大学占拠闘争を指揮し、後に SDS 分派闘争の結果生まれた暴力革命組織「ウェザーマン・アンダーグランド」の創設者のひとり、マーク・ラッド氏が、当プロジェクトの招聘に応えて来日しました。同氏は、1970 年の米国青春映画「いちご白書」のモデルともなったスチューデントパワーの象徴的リーダーです。

 10 月 23 日六本木「山﨑文庫」にて、米国からのラッド氏と日本からの元東大全共闘代表の山本義隆氏という東西の雄に加え、ラッド氏と面識もあり JATEC の脱走米兵支援活動も経験した鹿島正裕金沢大学名誉教授が参加、日米学生運動史上初の夢のような鼎談が辻恵弁護士の司会のもとで開催されました。

 鼎談の内容は、コロンビア大学闘争と東大闘争がそれぞれなぜ起こったか、米国と日本の反戦運動のありよう、自分たちがなぜそれらに関わり、その後の半世紀をどのように生きてきたか、60 ~ 70 年代闘争の教訓は何か、といったものでした。会場から佐々木幹郎氏の「最も重要な問題は我々が反省すべきかつてのことをどんな言葉で残すかということではないか!?」という貴重な提言もあって、熱い議論が交わされ時間が足りなくなり、歓迎晩餐会まで討論が続きました。

 ◀福泉寺の墓前にて

福泉寺での墓参りを終え京都へ

 10 月 24 日、マーク・ラッド氏のたっての希望で山﨑博昭さんの墓参りに行くことになり、それに応えて山本義隆さんが合流。その後、経産省前テントに表敬訪問し、次の目的地である京都に向かいました。

 10 月 25 日京都精華大学に於いて、同大学のレベッカ ・ ジェニスン教授が座長兼通訳を務め精華大および関西大学の学生や若手研究者を交えてマーク・ラッド氏を囲むティーチインが行われました。

 ラッド氏は社会運動の組織化に絡み若い人向けにアニメなどのサブカルチャーの利用提案や大学の自治会問題に至るまで、またジェニスン教授はご自身の経験から反戦闘争への関わりや反権力の芸術による闘いなど多岐にわたる話が展開されました。その後、皆で京都大学吉田寮を訪問。ホテルでの懇親会ではラッド氏とレベッカ教授ほか若手研究者や学生との間で更なる交流が深められました。

 ◀講演中のマーク・ラッド氏

獄中生活の後、数学教師として勤務、引退後反戦、反原発活動など続ける

 滞日最終日の 10 月 27 日は、「反戦・反貧困・反差別共同行動 in 京都 変えよう!日本と世界」京都円山公園集会の実行委員会からの要請を受け、急遽特別参加し連帯の挨拶を行いました。

 1970 年ラッド氏は、3 人の「ウェザーマン・アンダーグランド」の同志を亡くしたグリニッジビレッジタウンハウス爆破事故の件で地下潜伏、7 年間の逃亡生活を経て 1977 年自首投降。数年間の獄中生活を経て、出所後はニューメキシコ州アルバカーキ―市に定住し数学教師として勤務。引退後は過去の闘争を総括し暴力革命路線と自己の役割を悔い改め、非暴力主義と民主主義による変革を提唱しコミュニティ活動に献身しています。

 この集会ではその活動の関連で、同州での原爆開発の話、先住民の土地を奪い若者に労働させて核燃料サイクル施設を作った話、リオグランテ川に放射性廃棄物が捨てられている話などをして、米国の資本主義や軍国主義に反対していかなければならないと訴えました。挨拶の最後に、チェ・ゲバラの鬨の声「アスタ・ラ・ヴィクトリア・シエンプレ!(常に勝利に向かって前進せよ!)」を引用し、力強く締め括ったのが印象的でした。

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特別講演会「ベトナムをどう見るか ―歴史認識と現実―」 講師 中野亜里さん
2019 年秋の東京集会 特別講演会/11 月 16 日(土)/「全水道会館」

◀中野亜里さん

 講師に中野亜里さん ( 大東文化大学国際関係学部教授 ) をお招きし、当プロジェクトの 2019 年「秋の東京集会」を開催いたしました。

 今回の特別講演会は、1975 年に終結したベトナム戦争後のベトナムを様々な視点から多面的に考察することを目的に開催いたしました。ベトナムの歴史と現在とを客観的に検証する中から、今後の反戦運動の新たな可能性が拓かれていくことを願っての開催でした。

 当プロジェクト発起人佐々木幹郎さん司会のもと、約2時間にわたっての講演となりました。中野亜里さんは、現在ベトナム国家が抱えている困難や問題点を様々な角度から指摘し話されました。主な項目は、「ベトナムとの関わりから見えたベトナムのオモテとウラ」「日本人のベトナム認識とベトナム人の歴史・世界観」「『社会主義』や『民族解放』の神話」「明らかにされていない歴史」「ベトナムの政治と対外関係の現状」「開発と民主化・人権問題」「中国・アメリカ・日本との関係」「今後の展望」など多岐にわたりました。

 講演は、通常は知らされていないベトナムの情報や話題が多く、貴重な内容でした。参加者は 40 人を超え、質疑応答や会場からの発言も活発に出されました。

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「京大 11 月祭」で「京大生山﨑博昭とベトナム反戦運動」展と講演会を開催
   ▲京都大学11月祭での展示        ▲講演会での質疑応答

 「10・8 山﨑博昭プロジェクト」が、「京大 11 月祭」の屋内企画に参加しました。 

 当プロジェクトでは、これまで京都精華大やベトナムホーチミン市の戦争証跡博物館で「日本におけるベトナム反戦闘争とその時代」展を開催してきましたが、今回その展示を新たに「京大生山﨑博昭とベトナム反戦運動」展へと構成しなおし、山﨑博昭君の母校である「京大 11 月祭」で展示をしました。
◇場所:京都大学吉田南構内 総合人間学部 1 B 08
◇日時:2019 11.21( 木 ) ~ 11.24( 日 ) 10:00 ~ 18:00

 11 月 22 日 ( 金 ) には、同会場内でパネルディスカッション「10・8 羽田闘争と京大」を開催しました。講師として政治学者で京都精華大専任講師の白井聡氏、山﨑博昭君と高校、大学で同級生だった弁護士の北本修二氏などの皆さまにご参加いただきました。

 大学での展示と講演会は、2016 年 10 月の京都精華大学に続いて 2 度目となりました。

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山﨑建夫談

 「プロジェクトの関西運営委員会の会議には、大学で教鞭を取る人や、大学院生も参加してくれるようになっていました。京都大学院生 K さんが主催者として 11 月祭実行委員との折衝に当たってくれました。彼は京都大学新聞会出身者で吉田寮出身者でもあり、大学当局から老朽化を理由に退去しない寮生を告訴するという暴挙に怒りを覚えて闘っていました。その怒りと闘いは私たちにも共有できるもので、マーク ・ ラッド氏来日の折は彼を伴って吉田寮の見学も果たせました。K 氏ののおかげで京大 11 月祭での展示と講演が可能とな利ました。大学での展示は 2 校目、しかも弟の母校での「京大生山﨑博昭とベトナム反戦運動展」である。感慨ひとしおのものがありました。」

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〈ご案内〉52年目の山﨑博昭命日の集い

 ◎2020年10月8日(木) 

 

午前11時30分 羽田・弁天橋「鳥居」前に集合
▶京浜急行・空港線「天空橋」駅下車、徒歩5分
▶JR蒲田駅東口あるいは大森駅東口から羽田空港行きバス「空港入口」降車、徒歩3分
10・8羽田闘争の現場、弁天橋周辺を散策、その後バスで福泉寺へ移動、墓参
午後零時30分 福泉寺:大田区萩中3-27-10
▶京浜急行・空港線「大鳥居」駅下車、徒歩15分
▶JR蒲田駅東口③番羽田空港行きバス「萩中公園前」降車、徒歩1分。(「萩中」の次が「萩中公園」)

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〈10・8山﨑博昭プロジェクト2020 秋の集会〉
『きみが死んだあとで』完成披露上映とトークの会(要事前予約)

<東京集会>
2020.10.4(日)
◉ 午前の部 10 時開場 10:30 開映(14:45 終了)
 ◉ 午後の部 15 時開場 15:30 開映(19:45 終了)
【会場】渋谷ユーロライブ
    渋谷駅下車・Bunkamura 前交差点左折
   渋谷区円山町 1-5 KINOHAUS 2F
   TEL:03-6675-5681 http://eurolive.jp/access
【料金】1,500 円(要事前予約)

<大阪集会>
2020.11.3(火・祝)
◉ 12 時開場 12:30 開映(17:00 終了)
【会場】エル・おおさか南館大ホール
Osaka Metro 谷町線・京阪電鉄「天満橋駅」より西へ 300m
堺筋線・京阪電鉄「北浜駅」より東へ 500m
大阪市中央区北浜東 3-14  TEL:06-6942-0001
http://http://www.l-osaka.or.jp/access/
【料金】1,500 円(要事前予約)

東京集会、大阪集会とも参加者事前予約制 ※新型コロナウイルス対策のために参加申込みは〈事前予約制〉となります。
インターネット、FAX でお申込みください。
1⃣インターネット>>> http://yamazakiproject.com/application
「お申込みフォーム」からご記入ください。
10·8 山﨑プロジェクト HP の「事務局からのお知らせ 〈10 月 4 日東京集会、11 月 3 日大阪集会〉」のページのお申込みフォームもご利用できます。
2⃣FAX >>> 03-3573-7189 「10·8 山﨑博昭プロジェクト」事務局宛
「お名前・ご連絡先・ご希望日時を記入した用紙」を下記の番号へご送付ください。

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〈ご案内〉好評発売中‼

『かつて10・8 羽田闘争があった ー 山﨑博昭追悼50 周年記念[寄稿篇][記録資料篇]』

 
▲[ 寄稿篇]         ▲ [ 記録資料篇]

『かつて10・8 羽田闘争があった』
山﨑博昭追悼50 周年記念[ 寄稿篇]』、『同[ 記録資料篇] 』
10・8 山﨑博昭プロジェクト編
四六版並製
各3,900 円+ 消費税(312 円)
発行:合同フォレスト 発売:合同出版

各 3,900 円+ 消費税(312 円)

 この記念誌は全国の書店、Amazon で購入できますが、当プロジェクトに直接申し込んでくださると、著者割引でいくらかお安くなります。
■ E メールでお申込み:monument108@gmail.com
■ FAX でお申込み:03-3573-7189
①ご送付先 ②お名前 ③お電話番号 ④ [ 寄稿篇] か[ 記録資料篇]か ⑤冊数 を必ずお書きください。
 本を郵送する際に同封します振り替え用紙にて「代金+ 送料」をお支払いください。

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地域情報誌『月刊おとなりさん』に
「山﨑博昭さんの死因の真実を探る」が掲載

月刊『おとなりさん』8月号

 大田区と品川区の地域情報誌『月刊おとなりさん』( ハーツ&マインズ刊 ) 2020年 8 月号に、「山﨑博昭さんの死因の真実を探る」と題したレポートが、当時の写真とともに6頁にわたって掲載されました。冊子は、大田区内の各店舗や区役所広報課、図書館などで無料配布されています。
購読希望者はinfo@otonarisan.jp にご連絡ください。

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〈賛同金(年会費)のお願い〉

本プロジェクトへのご支援をお願いします。
賛同金(年会費)1口3000円
振込先
❶三菱UFJ 銀行 銀座通支店 店番024
普通預金 口座番号 0375980
口座名義 10・8山﨑基金(ジュッテンハチヤマザキキキン)

❷ゆうちょ銀行 記号10130 番号96337621
口座名義 10・8山﨑基金
※他の金融機関から「ゆうちょ銀行」にお振込の場合
店名(018) 店番(018)普通預金 口座番号9633762

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〈事務局から〉

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「新着記事」山本義隆氏の論考「コロナと旅とリニア新幹線」をお読みいただきましたか。新型コロナ感染症を入り口に「科学技術の進歩」を疑い、「リニア新幹線」とは何かを解き明かしつつ鋭く批判しています。今後「新着記事」の場を皆様からお寄せいただいた論考の行き交う「交流のプラットホーム」にして行きたいと考えております。自由にご寄稿のほどをお願いします。

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