ベトナムの戦争証跡博物館で日本の反戦闘争の記録展示へ(ニュース緊急報告)

2014年に始まった「10・8山﨑博昭プロジェクト」のこれまでの活動記録と報告を「ニュース」としてお伝えします。まずはベトナム関連の緊急報告から。

10・8山﨑博昭プロジェクト・ニュース(№1) 2015年11月7日

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【2015年6月25日/ベトナム日本友好協会・会長、ディン・ラー・タン氏(交通運輸大臣)から、メッセージが届きました

Hanoi, June 25th, 2015
To: The Executive Committee for Building the YAMAZAKI Hiroaki Monument

The Vietnam-Japan Firendship Association would like to take this opportunity to send its warmest greetings to the Executive Committee for Building the YAMAZAKI Hiroaki Monument.
In response to your letter dated 28 April 2015, the Vietnam-Japan Friendship Association agree to be,as an organization, one of the supporters of the constraction of the YAMAZAKI Hiroaki Memorial with the following message:
“The Vietnam-Japan Friendship Association would like to pay its tribute to YAMAZAKI Hiroaki, who sacrificed his own life during the campaign against the US war in Vietnam at Hanada Airport, Tokyo in October 1967”
May the solidarity, friendship and cooperation between peoples of Vietnam and Japan further develop.

VIETNAM-JAPAN FRIENDSHIP ASSOCIATION

…………………………………………(訳)……………………………………………………

2015年6月25日 ハノイ
山﨑博昭追悼碑建立実行委員会 御中

ベトナム日本友好協会は、山﨑博昭追悼碑建立実行委員会に対し、謹んでご挨拶申し上げます。
ベトナム日本友好協会は、山﨑博昭追悼碑建立実行委員会を支援する一団体として、貴委員会の2015年4月28日付の書簡に応じて、次のメッセージを送ります。
“ベトナム日本友好協会は、1967年10月、東京・羽田空港におけるアメリカのベトナム侵略戦争に反対する闘争において、生命を落とし、尊い犠牲を払った山﨑博昭氏に対して、心から賛辞を捧げます”
ベトナムと日本の両国人民の連帯、友情と相互協力の、さらなる発展を祈念しつつ。

ベトナム日本友好協会

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【2015年8月18日/ベトナム・ホーチミン市「戦争証跡博物館」を訪問。1960年代から70年代の日本の反戦運動の歴史を記録する展示企画が決定!

戦争に反対するために立ち上がった「10・8山﨑博昭プロジェクト」の活動は、山﨑博昭の没後50周年となる2017年に、
(1)羽田・弁天橋の近くに、山﨑博昭を追悼するためのモニュメントの建立
(2)山﨑博昭の死因を究明し、この50年をふり返る記念誌の刊行
のふたつを目的として出発しました。その他に、当初から進行していた企画があります。1967年10月8日の第一次羽田闘争は、ベトナム戦争に反対する学生と青年労働者による闘いでした。その闘いについてベトナムの国民に歴史的な情報を伝え、未来につながる国際的な反戦運動の礎にしたい、という願いがありました。つまり、
(3)ベトナム・ホーチミン市(旧サイゴン市)の「戦争証跡博物館」に、山﨑博昭の遺影とともに第一次羽田闘争の記録を展示する、というのが、3つ目の目的でした。

このため、在日ベトナム大使館の協力を得て、本年8月18日、発起人の辻恵、佐々木幹郎の二人が「戦争証跡博物館」を訪問。HUYNH HGOC NAN館長と面談し、わたしたちの希望を伝えました。館長は女性です。彼女は、自分を含めてベトナム国民は第一次羽田闘争の激しい闘いを誰も知らなかった。闘争の50年後にこのようなプロジェクトが山﨑博昭の友人たちを中心に進んでいることに感動する。ぜひ、ベトナムの若者たちにこのことを伝えたい、と言われました。その上で、わたしたちの提案を上回る、以下に示すような好意的な逆提案をいただきました。

【2017年1月~3月、「戦争証跡博物館」特別企画室で10・8第一次羽田闘争を中心に、日本の1960年代~70年代の反戦闘争の歴史を総括し、資料や写真などの記録を展示

HUYNH HGOC NAN館長の提案の要旨は以下の通りです。

(1)地球の平和のために身を犠牲にして戦った山﨑博昭という日本の若者の存在について、ベトナムはもちろん、当博物館を訪れる外国人を含めた今の若者にぜひ理解してほしいので、特別企画展を開催したい。

(2)米軍に基地を提供していた日本で、日本全国にわたって反戦闘争が展開された事実を知らなかったし、日本国民の多くがベトナム戦争に反対した姿を資料として展示することは、ベトナムと日本の両国民の友好関係を築くために意義が大きい。

(3)1967年10月8日の第一次羽田闘争を中心として、1960年代から70年代にかけての日本のすべての反戦運動の歴史を具体的な資料によって紹介する展示会にしたい。

(4)当博物館の来場者は年間70万人。そのうちの70%は外国人。ベトナムで最大の入館者数を誇っている。

(5)博物館1階にある特別企画室では、毎年1月9日(1950年に抗仏戦争で虐殺された女子学生TRAN VAN ONの記念日)から、3月26日(ベトナム青年団設立日)までの期間、ベトナムの若者に向けた特別企画展を開催している。各大学・高校の学生たちに参加を呼び掛け、ピーク時には一日3000人が参加することもある。2013年の企画展では「戦火をくぐり抜けたアオザイ展」を開催した。

(6)当博物館での特別企画展が終了した後、ベトナム全国の大学を巡回する移動展示会を開催したい。そのとき日本のベトナム反戦闘争に参加した人たちと、ベトナムの若者との間でのトーク・セッションも企画したい。移動展示会では、年間20~30万人の観客数を見込むことが出来る。

(7)当博物館での3カ月の特別企画展と全国を巡回する移動展示会を終えた後、ベトナム国民の反応を確かめて、当博物館で永久展示する資料を選びたい。

(8)当博物館での特別企画展の期日として、2017年1月~3月を希望する。移動展示会を4月から始めれば、日本で開催される2017年10月の「10・8山﨑博昭プロジェクト」の50周年記念イベントにつなげることができるだろう。

以上の提案を受け、今度はわたしたちが感動しました。ホーチミン市「戦争証跡博物館」館長からの提案によって、「10・8山﨑博昭プロジェクト」の目的と使命が鮮明になったと言えます。わたしたちはこの提案に全力で応えることにしました。

*今回の提案の受け止め及び今後の取組について*

(1)1960年代を中心とする日本の反戦闘争・反政府闘争に対する総括の場が、「戦争証跡博物館」での企画・展示という形で与えられたことの意義は大きい。

(2)必要な作業
◎1960年代を中心とする日本の反戦闘争・反政府闘争の実際のトータルな再現。
◎ベトナム反戦を軸に、全国の学園・職場・街頭での闘争と、学生・労働者・市民の運動の実態の掌握(旗・ビラ・ゼッケン・新聞・雑誌等印刷物などの資料、記録映画・ドキュメント映像と写真、論文・手記・評論・学術研究書等の収集)。
◎翻訳体制の整備(ベトナム語、英語の翻訳は不可欠)。

(3)実行体制
◎2015年末に、企画実行チームの設立と「60年代研究会(仮称)」を発足させる予定。

(文責・佐々木幹郎)
(ニュース№1 つづく)



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